部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2013年12月21日
「これまでの年功序列から適材適所を心がけた人材育成とインセンティブ付加をめざしている」「最新の知識を得る社外研修や、他社との間でOJT教育を実施する等、専門知識を有するスタッフを養成していきたい」。
これらの抱負は、大阪府内の部落解放大阪府企業連合会(以下、企業連という)に所属する会員の言葉である。
「レベル高いぃ~!」・・・じぇじぇじぇが、わたしの感想であったが、「書記長、それは偏見や」と戒められた。
企業連に属している会員企業が、これほど将来へのビジョンを持ちマネジメントやマーケティングを重視していることに正直、驚いた。明日への投資より、今日の1円にこだわる大阪商人のイメージを企業連に持っていたのはわたしだけであろうか。
企業連は会員1000社に企業ニーズ調査や人材育成を目的にアンケートを実施。調査に協力してくれた会員さんが、348社あった。
経営状況では、「たいへん厳しい」が24・4%、「やや厳しい」の32・5%とあわせると56・9%となり、景気の厳しさを反映している。その一方で、「順調」が6・9%、「まずまず順調」32・8%もあり、39.7%もの企業が好調をキープしているようだ。
人材育成ニーズで勉強になったのが、「企業として育成したい能力」という項目であり、専門知識・スキル・資格を育成したいと答えた企業は、実に65・2%にも及んでいる。また、課題解決能力が49・9%、リーダーシップが45・5%、コミュニケーション能力が37・1%とそれぞれ高い数字を示した。
各種資格取得、自己啓発への支援といった人材育成・能力開発手法を導入している企業ほど、経営が「順調」との結果が出ており、経営が「厳しい」と回答した企業ほど、「とくに何もしていない」という数字が高い傾向を示している。
仕事への熱意、責任感、誠実性、健康状態、協調性といったその人の持ち味-“パーソナリティ”が採用時に重視されることは当然のようだが、企業は、むしろ採用してからのスキルや専門性をどのようなシステムで構築していくのかが、問われている時代を迎えているようである。つまり、個人のやる気や熱意、責任感といった個性や人柄によって、中小零細企業を支えてきた時代はリセットされ、企業が目的意識的に能力を開発するような研修や訓練、資格取得など、それこそ多彩なラインアップで、人材を育成していくという時代を迎えているようである。
わたしは、こうした企業の人材確保のためのたゆまない努力が、いまこそ部落解放運動に必要ではないかと思っている。運動への熱意とやる気が、大阪の部落解放運動を牽引し、情熱が同盟員を鼓舞し、責任感で各地区運動を引っ張ってきたという運動が、大きな岐路にさしかかっているという認識からだ。つまりは、各個人が持っている、または持ち続けようとしている熱意や情熱、運動への献身性などのパーソナリティを否定するものではないが、それに依拠した運動は、限界に来ているのではないかと思っている。
個人の情熱や運動への熱い思いと責任感だけでは、これからの多様な時代を生き抜く部落解放運動は創造できないのではないか、と思っている。とくに次代を担う若い青年たちには、解放運動にも参画してほしいし、他の環境問題や平和運動、あらゆる人権問題にも興味を持ってほしいし。それをNPOや市民活動などへの参加を通じて、部落解放運動オンリーではない、さまざまな分野の社会運動や市民活動へおおいにチャレンジしてほしいと思っている。
“朝から晩まで部落解放運動”や“生涯部落解放運動”という活動家は、わたしたちの世代でラストとし、これからの人たちは、多様で多元な社会に、重層的に係わっていくという新たな運動スタイルの構築が必要だ。専従者中心の部落解放運動を自発的に参画したくなるようなボランティア型運動へシフトすることが必要だろう。
そんなことを夢見ながら今年を振り返り、来年は組織改革元年といえるような年にしたい。多くの方々に閲覧していただいたことに感謝し、来年も読んでいただき叱咤激励していただきたいと思っている。