部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
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コラム | 2014年3月19日
サッカーJリーグ浦和レッズのサポーターが、「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕を掲げたことにより、1試合の無観客試合を科すという制裁を決定した。Jリーグ史上初となる重い処分であり、3億近い損害金が発生するのではないか、と言われている。
「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕について、当初、浦和サポーターは「最近、海外からの観光客が増えて応援の統制が取れなくなっている」「(横断幕を掲げた入り口がある)ゴール裏は『聖域』。自分たちが応援してきた場所だから」と掲げた理由を説明したという。横断幕を掲げたメンバーは、「差別の意図はなく、反省している」とも話したようだ。
しかし、「JAPANESE ONLY」とは、「日本人以外、お断り=外国人お断り」と解釈するのが妥当であり、人種差別にあたると断定されても仕方のない行為である。また、問題は、浦和レッズによる当日の対応にある。横断幕に気づいたのは、試合開始の30分ほど前だと認めているにも関わらず、結果的には試合終了まで放置されていたという。
さらに、大きな問題だったのは、浦和の社長ら幹部に問題が報告されたのはその日の深夜になってからだったという。人種差別への意識の低さと、組織としての反応の鈍さが問われても仕方がない事態といえよう。
一方、上部組織であるJリーグの対応は素早かった。本来なら裁定委員会が開かれる事案だそうだが、村井チェアマンは、各裁定委員のスケジュールを調整する時間さえ、惜しいと判断したという。国際的にも差別には厳罰を科すことが潮流であるとの認識と、迅速な対応がJリーグの信用を守ることになると判断したチェアマンは、報告書を受け取った段階で自ら裁定委員の意見を聞いて廻り、早急なるチェアマン裁定で、1試合の無観客試合を科すという制裁を決定した。差別的なトラブルを放置し続けた浦和の“罪”は重く、厳罰は免れないという判断である。
Jリーグの村井満チェアマンは「放置は、クラブが差別行為に加担したと受け止められても仕方ない」と指摘している。
Jリーグが無観客試合を科したという制裁について、「差別行為への加担」が浦和レッズ側に見られたというのが、制裁を決めたポイントのようである。サポーターによる「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が掲げられたことが事の発端である。つまり、差別行為の当事者は、3名と言われているこのサポーターであることに疑いはない。
しかし、Jリーグは、ホームチームである浦和レッズ対して、制裁を科した。差別行為である横断幕を試合中、掲げさせてしまったという行為が、“差別への加担である”との判断からだ。
文字通り“差別の判断基準”が、日本人以外のひとが不快に感じるのかどうか、侮辱の意志を感じ取れるのかどうかが、ポイントになったことにある。つまり、差別を受けた当事者である被害者側が、「JAPANESE ONLY(日本人以外、お断り=外国人お断り)」をどのように捉えたのかということをJリーグはそのことを最大限尊重し、浦和に対して、「差別への加担」という厳しい評価を下したのだろう。
差別や人権侵害を引き起こしてしまう加害者側は、軽い気持ちと「無意識な差別意識」「無自覚な差別意識」で心ない行為がこれからも発生するだろう。問題は、その不届きな行為に対して、差別を受けた当事者側の立場に立って適切な対応がとれるかどうかが、ポイントのようである。
本当に恐ろしい社会とは、こうした日常生活の中で繰り返しおこなわれる差別行為が、誰からも指摘されることなく、それがあたりまえのように横断幕が放置され、問題に気づくことのない社会だ。ひとがひととして扱われず、人権が尊重されず、異常が通常になり、国際社会での非常識が常識となるような社会へと日本が変貌しつつあるのではないかとの危惧の念を抱いているのはわたしだけだろうか。
今回のJリーグの俊敏な対応を評価したい。