部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
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コラム | 2019年6月27日
「お〜ようやってるやん」「なかなか気の利いた取り組みできてるやん」という感想を持ったのは、結成から7年を迎えようとしているフードバンク活動、いわゆる“ふーどばんくOSAKA”の取り組み内容である。
6月24日に今年度の総会が開催され、昨年度の事業報告を聞いていて、理事長のわたしが言うのもおかしいが改めて「たいしたもんだ」と、そう思ったのだ。
大阪府内の子ども食堂に食品を提供している団体数が122ヵ所にもなり、府内で子ども食堂を実施している全体の6割以上にふーどばんくOSAKAが関係していることとなる。
また、各自治体に設置されている「生活困窮者自立支援相談窓口」を通じて、困窮する相談者に対して緊急支援の食品提供を実施しており、913件の食品提供をするまで広がってきている。
家では使わなくなった食品をひとつのところに集める活動、いわゆるフードドライブも大阪府内全体に広がりを見せてきており、ふーどばんくOSAKAに集められた食品も4トンを超え、延べ62回のフードドライブの活動が企業や個人、グループやイベントで実施されるようになってきている。
株式会社ダイエーとの協働事業としても取り組んでおり、府内29のダイエーの店舗でフードドライブが定期的に実施され、その取り扱い量も873キロを記録するようになってきているなど、確実に活動の領域の広がりを見たところである。
こうした食品ロス削減の動きが全国的な広がりを見せていることが背景となり、今年5月国会において「食品ロス削減法案」が成立、フードバンク活動がますます注目を浴びる時代を迎えた。注目されると言うことはそれだけ責任がついてまわるということであり、信頼性の向上のため食品の衛生的な取り扱いや管理も含め高い水準が求められるようになることは火を見るよりも明らかだ。
フードバンク活動の信頼性の向上のため欠かすことのできない課題が、“トレーサビリティ”という考え方だ。
トレーサビリティとは、「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにすること。原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすることであり、日本語の訳は、「追跡可能性」と訳され、最後まで責任が生ずるという意味を持つ。
つまり、一般的な市民団体によるフードドライブの活動においても、誰もが自由に自宅から持ってくる食材が、果たして衛生的な条件を満たしているのか。賞味期限は、取り扱いは、冷凍保存が、冷蔵保存かなど、食品ロスを削減しようというボランティア精神は大事だが、食品を取り扱うというルールをきちんと整え、品質・衛生管理というフードバンク側の責任をさらに“見える化”しなければならないという責任が生じていることも肝に銘じなければならない時代を迎えたと言えよう。
それでもスタッフやボランティアさんの奮闘には頭が下がる。
生活困窮者への支援物資の提供では、自治体から送られてくる生活困窮者の情報を確認し、「この家はガスと電気はまだ止まっていない」と知るや、「はい、カップ麺。レトルトのカレー」などなどが箱に詰められ、10日分や2週間分の食材がダンボールに入れられ完成する。
また、この家は、子どもさんふたりの母子家庭で、ライフラインが止められている、と知るや「水を入れるだけで食べることの出来るアルファー米と水のペットボトル、缶詰」などなど、電気水道がストップされている家でも食べられる食材がダンボールに入れられる。そのダンボールに一枚のメッセージが添えられている。
「ふーどばんくOSAKAからのおっそわけ」と・・・なんともイキな演出である。
格差の拡大や貧困世帯の増加、8050問題など、社会的な課題は後をつきない。しかし、手をこまねいていても解決にはならない。政治が課題解決に真正面から向きあい、少しでも前進させてもらうことを願う。しかし時間がかかる。では、まずはお腹をいっぱいに・・・これがフードバンク活動のミッションだ。たしかに食品ロスを削減させること。もったいないをありがとうに変えることもフードバンク活動の大事な方向である。しかし、まずはお腹を空かしていては力も出ない。お腹を満たし、そこから働こうとすること。学ぼうとすること。ひとのために役に立とうとすることなどの“やる気”が湧いてくるものだ。