部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
ニュース | 2020年6月1日
大阪人権博物館(リバティおおさか)が5月31日で35年の歴史にいったん幕をおろした。当初は関係者のみの内覧会を予定していたが、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除されたことを受けて5月25日から31日まで最後の一般公開が無料でおこなわれ、大阪府内のみならず他府県からも多数の参観者が訪れ日本で唯一の人権問題に関する総合的な博物館の最後を惜しんだ。
リバティおおさかは1985年に府連、大阪府・市などが出資した財団が「大阪人権歴史資料館」として設立。部落差別を中心に幅広く人権問題に関する歴史資料を収集、展示してきた。
1995年には開館10周年を機に「大阪人権博物館」と改称。全面的なリニューアルをおこない建物、展示内容を拡充しホールも新設された。
部落差別、障がい者差別、在日コリアン、アイヌ、女性差別、ハンセン病、公害、性的少数者など世界でも例を見ない幅広い人権問題を取り上げる博物館として所蔵資料は約3万点におよび、これまでに約170万人が来館した。
国際都市、人権都市大阪の象徴的な施設として大阪府・市が全面的に支援してきたが、2008年に同館を視察した橋下徹知事が展示内容について「子どもに夢を与える展示になっていない」などと指摘。その指摘を踏まえてリバティおおさか、大阪府・市でリニューアル案を検討し知事・府議会も了承し、橋下知事も予算を決済して2011年にリニューアルがなされた。
にもかかわらず2012年に今度は大阪市長として視察した橋下氏は「私の考えとは合わない」などと自らが承認した展示を否定。同年度途中から補助金を削減し、2013年には補助金を全廃した。
その後、リバティおおさかは全国の個人・団体からのカンパなどで自主運営をおこなってきたが、追い打ちをかけるように大阪市は土地の無償貸与を打ち切り、土地の明け渡しをもとめて2015年に財団を提訴した。
リバティおおさかの敷地は部落差別により教育権を奪われてきた地域の人たちが用地や基金を大阪市に提供して建設された旧栄小学校の跡地。
裁判ではこうした歴史的な経緯や行政権の濫用であることなどを主張してきたが、今年3月大阪地裁が賃料を免除する代わりに土地を明け渡す和解案を提示。
提訴は到底納得できるものではないが新たな場所での再出発に向けた現実的な判断として和解案に合意した。
35年にわたる成果を継承しつつ、全国水平社・大阪府水平社の100となる2022年に現実的な規模で持続可能な博物館として、公共機関駅近くを想定し再出発をめざす。