ネット差別の解消へ 大阪市と政策懇談 

府連と大阪市との政策懇談会が12月8日、大阪市役所でひらかれた。大阪市からは朝川晋副市長、山本晋次教育長ら幹部が出席。府連からは赤井隆史委員長ら執行部と大阪市内ブロック各支部の代表が参加した。

冒頭、朝川副市長があいさつし「ネット上での誹謗中傷や差別書き込み、コロナ差別など新たな人権侵害への対応が求められている。いかなる人権侵害も許さない視点で人権施策の推進にとりくむ」とのべた。

府連の赤井委員長は「全国部落調査」裁判の判決について、「個人のプライバシー侵害は認められたが、部落差別をしたことについての踏み込みが弱い。自治体段階での規制には限界があり国で規制をかける法律が必要だ」と指摘。「社会的に厳しい生活実態にある人が集中的に住んでいる部落のコミュニティをどう再生させるのか、しっかり意見交換をさせていただきたい」などとと強調した。

懇談会のテーマについて北田一志財務委員長が説明。①ネット上をはじめとする部落差別事象への見解と解消に向けたとりくみ②新型コロナウイルスに関する差別の解消に向けたとりくみ③学校選択制の検証状況と部落問題学習の強化④市営住宅における住民自治、指定管理者制度導入へのとりくみ状況などについて回答を求めた。

朝川副市長、山本教育長が回答した主な内容は次のとおり。

  • ネット上に同和地区の所在地情報を掲載することは不特定多数に流布され、これまでとは異なる差別を助長、誘発しかねないもの。プロバイダ等に対する削除要請を大阪法務局におこなっているが、削除するかどうかはプロバイダの任意に委ねられており、国レベルでの対応が必要。引き続き法的措置を含めた実効性ある対策を国に要望する。
  • コロナ差別については市長による啓発メッセージ、ビラの配布といった啓発、専用の相談窓口の設置とともに差別や偏見を許さない意思表示として「シトラスリボンプロジェクト」に賛同し、全庁的なとりくみを進めている。国に施策の充実強化を求め、支援を必要とする生活困窮者や企業に対する支援にとりくむ。
    学校選択制については一部に校区外を選択する児童生徒の割合が高い学校があることを認識している。メリットや懸念される課題について改善に役立てるために各区において調査・分析を実施。来年度に大阪市全体での検証につなげる。
  • 部落問題学習についてはすべての学校で部落問題をはじめ様々な人権課題を学び、自ら考え、差別を許さない感性を持つ子どもたちを育てていくことが重要。実践資料集を教職員ポータルサイトに掲載し、各校での実践に活かせるよう周知している。
  • 市営住宅における住民自治については、高齢化の進行などにより、共益活動に支障をきたすといった課題が生じてきている。本年4月から指定管理者制度を導入し、共益活動への支援サービスを開始しており、必要に応じて情報共有や改善指示をおこなう。
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