部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
ニュース | 2023年6月29日
『全国部落調査』復刻版出版裁判の控訴審判決が6月28日、東京高裁(土田昭彦裁判長)でおこなわれ、憲法13条、14条を根拠に鳥取ループ・示現舎の行為が「差別されない権利」を侵害していることを認め、差し止め範囲を一審の25都府県から31都府県に拡大、賠償額も約489万円から約550万円に増額した。
判決では憲法13条の幸福追求権、14条1項の平等権の趣旨を踏まえ「人は誰しも、不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送る人格的な利益を有する」とし、地名リスト公表はこの利益を侵害するとした。部落差別について「差別される者の人間としての尊厳の否定に等しく、許容できない」とし、偏見、差別意識が依然としてあると指摘。地裁判決は認めなかった「差別されない権利」の侵害を初めて認めた。
地裁判決では「差止の範囲は当該原告が住所・本籍を置いている都道府県の範囲に限られる」と限定し、現在の住所、本籍が部落にない原告の被害を認めなかったが、控訴審判決では現在、過去の住所、本籍の他、親族の現在、本籍が部落にある原告にまで拡大した。また被告人2人の他、示現舎にも不法行為、責任があることを認めた。
『全国部落調査』に掲載された41都府県のうち、今回、新たに6県の差し止めが認められたが原告がいない県でも親族がいることで認められた県も含まれた。しかしながら原告がいないことを理由に10県には差し止めを認めず、解放同盟の業務遂行権も認めなかった。
日比谷図書館でひらかれた報告集会には傍聴から参加した全国の支援者の他、リモート参加を含め100人以上が参加した。
中央本部の西島藤彦委員長は「差別されない権利が認められたことは大きな勝利だ。差別禁止法がない以上、唯一の手立ては判例であり、この判例を今後最大限活用したい」とのべた。
原告を代表して片岡明幸・糾弾闘争本部事務局長挨拶の後、弁護団が判決文の内容について「部落差別の実態と差別を許せないという気持ちが伝わった。裁判官は勇気をもって書いた判決文ではないか」、「差別されない権利について、差別がどういうものであるか、許されないものであるとした上で人格的利益があると正面から認めている」、「原告がいない10県が認められなかったのは司法権の限界」、「差別されない権利が認められたことは今後様々な局面で大いに活用できるのではないか」などと説明した。
閉会あいさつを赤井隆史書記長(府連委員長)がおこない、「不当な扱い(差別)」と表現した部分がいくつもあり、同和問題に真摯にとりくんで判決文を書かれたことがわかる。司法には限界があり立法の闘いに移行し、法改正に結び付けていきたい」と強調した。