差別解消へ条例を 港湾局の差別発言ふまえて

府連と大阪市との政策懇談会が9月9日、大阪市役所でひらかれ、大阪港湾局職員による差別発言事件に対するとりくみをはじめ、大阪市の部落差別撤廃に向けた姿勢を問うた。

懇談会には大阪市から西山忠邦副市長、多田勝哉教育長はじめ各局の幹部、府連からは赤井隆史委員長はじめ執行部と大阪市内の各支部代表が出席した。

冒頭、あいさつした西山副市長は「5月に発覚した本市職員による差別発言は、今なお差別に苦しんでおられる当事者の方を傷つけるものであり、長年にわたるみなさんの努力をないがしろにするもので心から深くお詫びする」と謝罪。

赤井委員長は「発言した2人は同和行政を知っている世代。発言が日常的におこなわれていなかったのか、あの2人だけの発言なのか、さらなる真相究明が求められる」と指摘した。

懇談のテーマについて髙橋定書記長が提起。西山副市長、多田教育長が次のとおり回答した。

▽大阪港湾局職員による差別発言は、いちじるしく他者を傷つけ人権を踏みにじるもので断じて許されるものではない。また2019年度の本市職員による差別落書き事件を受けて、全庁的なとりくみを進めてきた状況で起こったことも重く受け止めている。

▽人権問題研修に関しては、外部有識者の意見をいただくとともに、職場環境の課題などを踏まえ、より実効性を高めた研修となるよう検討し実施する。

▽差別事象対応マニュアルは、事象が発生した場合直ちに人権啓発・相談センターに報告すべきこと、記録媒体は適切に管理すること、同和地区の問い合わせは府条例に反することを初期段階で指摘することの3点を明記。改正後のマニュアルについては全職員への周知を図る。

▽インターネット上の誹謗中傷、差別行為は大きな社会問題となっている。立法事実を積み重ね国に働きかけるためにも、モニタリングについて大阪市ができるとりくみを検討する。

▽SNSの普及に伴い、人権に関わる様々な問題が発生しており、児童生徒が加害者や被害者とならないための教育が大切。情報を正しく安全に利用できるよう情報リテラシーの育成、差別を許さない人権感覚を育て、教育活動全体で人権教育を進めていく。

また8月30日付けで発言した2人の職員を「信用失墜行為」で懲戒処分としたことも報告された。府連からは三重県では公立小学校の教員が起こした部落差別事件に対して知事が説示をおこない、部落差別行為に対して懲戒処分がおこなされたことを指摘。部落差別の解消を明記し、差別の禁止、被害者救済の枠組みを持った条例の必要性を重ねて指摘した。