「大阪市をなくしてはいけない」-5つの理由

水平時評 府連書記長 赤井隆史

5月17日は大阪市の有権者によって住民投票が行われる予定である。

マスコミでは“「都」構想の是非が問われる住民投票”という表現が使われているが、府議会、大阪市議会に提案されている「特別区設置協定書」には、大阪都なる文言は見あたらない。
つまり、住民投票は、「都」構想への反対、賛成を問うものではなく、あくまで大阪市の解体と5つの特別区を設置するための協定書案への賛否を問うものである。
もっと言えば、大阪府は残るが、大阪市は残らないという協定書案に賛成してくれと言われているようなもので、5つの特別区になりますと言われても市民サービスがどう変化していくのかなど、具体的な提案もなく、賛成できるはずがない。

そこで、「大阪市をなくしてはいけない」-5つの理由について訴えたい。
その(1)、「大阪都」にはならない!
あくまで大阪市がなくなり、5つの特別区が配置されるだけ。「都」になるためには法律で決められなければならず、今回の住民投票だけでは決して“都”にはならない。

その(2)、大阪市が5つに分割される。
大阪市が解体され、5つの特別区に分割される。その特別区は大阪市時代の独自財源の4分の3が大阪府に吸い上げられ、その後、府が条例で定める「財政調整交付金」で再配分されることとなる。設置後3年間は、その予算は特別区へ配分されるが、その後は定かでない。
府内的には、他の自治体の長は、市長・町長・村長であり、特別区の区長よりも権限を持つ。つまり特別区は府内で最も小さい自治体となる。

その(3)、これでは平成の大改革の先送りだ!
議員数は当面そのまま。地下鉄は2年間のあいだに民営化に、と方針化しているものの無理な場合は大阪府が承継するとなっている。改革はすべて先送りの感は否めない。しがらみのない、既得権にしばられないのが橋下改革ではなかったか。橋下知事、平松市長の時代に対立したことにより、二重行政が解消しなかった。だから「都」構想というのでは、一方をなくしたに過ぎない。ここは、府市統合本部を恒常化させ、二重行政を解消すればいいだけの話ではないのか。

その(4)、特別区の設置によって、市民サービスが向上することはない。
3年間は現状の市民サービスが維持されることになるだろう。それは、府の条例で定められた「財政調整交付金」があるからだ。しかし、3年間経過後は、あらためて検証となっており、今よりも大きな権限を持った府知事の登場により、特別区への予算配分を改め、府域全域に予算を配分するとなれば、特別区の台所は一気に火の車となり、市民サービスは大きく後退することになる。

その(5)、大阪市をなくしたくなければ“反対”を意思表示すること。
住民投票へ行って反対票を投じないと大阪市はなくなる。5月17日の1回こっきりの投票で、大阪市がなくなるという現実にわたしたちは直面しているということを徹底して訴えなければ、賛成票によって、大阪市が消滅し、5つの特別区が設置されることになる。わからなかったら“反対”と書きに行くこと。このことを徹底しないと後戻りできない選挙であるということだ。

以上、「大阪市をなくしてはいけない」-5つの理由だ。
府内全体から大阪市民に向けて、「5.17投票へ-反対と書こう!」という気運を盛り上げることだ。