絶望にもとづく期待は破滅への道 5.17 NOの審判を

水平時評 府連書記長 赤井隆史

統一自治体選挙の前半戦が終了した。
結果は、散々たるものとなり、わが同盟組織内候補6人中、4人が惜敗し辛苦をなめた。
大阪の統一自治体選挙は、「維新」対「自民」による大阪の次の舵取りを決める決選投票の色合いが濃く反映するというものとなり、結局、民主候補はその間で埋没するという結果となった。
「維新でもない」「自民でもない」。有権者の多くは、共産党支持に廻り、保守政治批判の受け皿としての役割を民主党が受け持つことが出来ず、争点を見いだせないまま、前半戦が終了した。

もうひとつの争点であった、いわゆる“都構想”-大阪市廃止・分割構想に対しても「維新」対「自民」の構図を破ることが出来ず、自民の後ろを民主候補が同じ論理で、同じ言葉で反対を連呼し、その支持は自民党候補を上回ることが出来ず、結果、“都構想”反対のトップランナーになることなく、二番煎じ、三番煎じの域を超えることでできなかったのが大きな敗因のようである。

統一自治体選挙後半戦がスタートした。4人組織候補はもとより、推薦候補の必勝に向け、最後の奮闘を訴える。政治は、やはり政策である。しっかりと個人の主張を有権者に訴え、支持を取りつけることである。
4月26日の後半戦が終了すれば、つぎは5月17日の大阪市民による住民投票だ。
橋下大阪市長の支持率もさることながら、大阪府議会、大阪市議会、堺市議会においても大阪維新の会が第1党を占めるなど、またまだ高い支持率を保っている。そこに何があるのかと考えたとき、一言で言いあらわすとすれば、それは〝絶望にもとづく期待〟ではないかと推測する。

たとえば中小零細企業経営者やそこで働く人たちにとっては、明日への期待や希望が感じられず、「われわれに明日はない」と閉塞感が充ち満ちている。追い詰められた人たちの多くが、「“大阪都”になれば、これからよくなるんじゃないか、橋下さんならなんとかしてくれるのではないだろうか」という悲鳴のような思いが、支持の相当の部分を占めているというのは言い過ぎだろうか。

2011年から13年までで、純金融資産を5億円以上持つ超富裕層の純金融資産総額が、株価上昇もあって29兆円増えているそうだ。一方で、直近の相対的貧困率と17歳以下の子どもの貧困率は過去最高を更新し、6人に1人が貧困状態である。
さらに働いているのに年収が200万円以下のワーキングプアといわれる層の人たちは、13年には1100万人を超えたといわれている。そのうち年収100万円以下の人は421万人。最低賃金は全国平均で時給780円、最も低いの沖縄県など7県で677円です。この金額で1日8時間、月に22日働いても月収は11万9152円にしかなりません。非正規雇用労働者の割合は増え続けており、いまや労働者全体の4割近くを占めている。

大きな問題は、頑張れる場があれば頑張れる人たちが、頑張る場に到達できない状況ができてしまっているという状況にある。行政の根源的な役割は、頑張りたいのに頑張る場所に到達できない人たちを、頑張れる場所に連れていくこと。そして何らかの理由で頑張ることができない人たちに対しても、人権を尊重されて生きていける環境をつくり出す。そのために行政権を行使する政治が求められているのである。大阪市を廃止し、5つの特別区にしたとしても、頑張れる場にさえたどり着いていない人たちのことが、視野に入っていない橋下政治では、統治機構を変えたとしても「頑張る人が報われる社会」が到来するとは言い難い現状だ。

〝絶望にもとづく期待〟だけで判断すれば、それは破滅への道へ通ずると言うことをしっかりと訴えていかなければならない。5・17“反対”という世論を構築し、大阪市廃止にまずはストップをかける大勝負が迫ってきている。絶対にNOである。