一寸先は闇 安倍無投票再選後の安保法制の行方

水平時評 府連書記長 赤井隆史

安保法案の強行採決か、成立断念か・・・いよいよ正念場の会期末が近づいてきた。政治の世界はそれこそ“一寸先は闇”である。何が起こるかわからない政治情勢である。 

考えられるシナリオとしては、まずは第1には、9月8日の自民党総裁選で安倍総裁の無投票再選が確定し「これで良いのか自民党」という声が日本列島に響き渡ることとなるということ。
第2には、安保法案の強行採決をどのタイミングで決行するのか、という時期の問題である。また、参議院での強行採決を見送り、それが出来ずに、いわゆる60日ルールを適用するのかである。
そして第3には、それに反対する世論の沸騰と国会デモの高揚に安倍首相の心身が耐えられるのかという総理個人の健康問題と、安倍政権が国民から「NO」を突きつけられる可能性の問題である。
第4弾に日程に登場してくるのは、辺野古基地建設をめぐる“1カ月の休戦”期間が終わるという沖縄の基地問題が新たな段階を迎えるという緊迫局面が迫ってくるということである。

自民党内の組織劣化の表れか、それとも無気力なのか。無投票再選という国民が一番選択してほしくない方向へ政権与党の自民党が歩み出しているという、まさに政治不信が高まりそうな総裁選であった。安保法案反対を無視して強行に成立させようとした全責任を安倍首相ひとりに押しつけるための作戦か・・・それこそ“一寸先は闇”である。

安保法案強行採決のタイミングについては、野党はもちろんあくまで安保法案の時間切れ廃案をめざすこととなる。会期は9月27日までだが、シルバーウィークがあることから事実上18日が会期末となる。政権与党は、16日に参院委員会で採決し、同日中もしくは遅くとも17日に本会議で採決に持ち込みたい考えだが、野党は内閣不信任決議案を提出するなどして徹底抗戦することとなるだろう。

その時に国会周辺で連日、安保法案反対の大きな世論が渦巻くがどうかが試金石だ。国会が騒然となるほどの反対世論が盛り上がれば、参院では混乱して採決に入れないという事態になる。与党は、いわゆる“60日ルール”の適用を持ち出し、衆院に持ち帰って3分の2で再可決・成立させるという方向を選択するのかどうか。出来なくはないが、参院与党にはそれへの強い反発があることと、「参院で十分審議していないものを力で押し切った」という安倍政権への批判が強まることは想像に難くない・・・ それこそ“一寸先は闇”である。

問題は、この安倍政権NOという反対勢力の受け皿が政党にないというもどかしさだ。反対が半数を上回るほどに安保法制については、違憲という問題も含め反安倍の世論が盛り上がっているにもかかわらず、民主党をはじめとする野党の支持率が右肩上がりに急浮上していない現状にある。
少し辛口にはなるが、いまのままの民主党をそのまま維持・継続させたまま、維新の一部を取り込んで勢力を拡大して・・・という道筋では同党の理念をますます曖昧にするだけであり、再建は容易ではないと思うのは、わたしだけであろうか・・・それこそ“一寸先は闇”である。