2016年を「バタバタ」「ジタバタ」してみる年に

水平時評 府連書記長 赤井隆史

 

2016年新たな年を迎えた。
これからも1ヵ月に2回「水平時評」を頑張って、更新していきたいと思っている。

今年も厳しい環境下での部落解放運動であることに変わりはないが、とにかく今年は、「どっかの支部(地域)がバタバタしている」「なんかジタバタしてる支部(地域)がある」という厳しい環境に抗う一年にしてみたい。

かつて4万人近くを誇った同盟員の登録数は衰退の一途をたどり、集会や学習会への結集率は目を覆うばかりである。選挙闘争における動員もサンデー・サタデー行動への参加者の顔ぶれは、まさにどこを切っても金太郎飴状態といえる。

府連47支部の状況は、支部員数も財源も瀬戸際にあり、あがきもがき苦しみながらも何とか、荊冠旗を守り抜いてもらっている。

府連においても同様のことが言えるわけであり、47支部から応援をいただき、辛うじて組織を運営して来ているところである。そんな中から新たなファクターとして、エコー共済事業(2009年実施)、ふーどばんくO S A K A(2012年設立)、Bサポート(2012年設立)、といったNPO事業や法人の立ち上げなど、とにかく社会の変化に対応するための“社会運動”に額に汗して奮闘しているのである。

こうした考え方のコンセプトは、「ダイバーシティ」という発想であり、ここでいうダイバーシティとは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方というよりは、社会的マイノリティの就業機会拡大を意図しており、各地区で多様化している年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするマネジメントに、部落解放運動がコミットしようという発想である。

昨年から府連は、それを隣保館を核としてマネジメントできないか、各地区のニーズはなんなのか、といったことをプロジェクトを発足して、支部を決めて協議に入ってきた。 その成果として、荒本支部でのNPO法人の立ち上げ、蛇草支部で同様の動きが出てきたことなど、具体的な成果として現れ始めている。

昨年は、同和対策審議会答申から50年を記念してさまざまな事業を展開してきたが、この50年の間に当時の部落と決定的に違う状況が、各地区に現れている。それは、“部落は「複雑化」し「多様化」している”ということだ。「ひとり暮らし高齢者の生活はどうなっているのか」「食事は」「生活費は」「子どもとの関係は・・・」といったことが、50年前は貧困という一言でかたづけられた実態が、まさに複雑化し多様化してきているのである。それを支部長や書記長、執行委員といった限られた人数で、多様化した地区住民の生活実態やリズムを把握することは、そもそも無理なことであり、多様化した社会には、ひとつの価値観にしばられない多様化した“社会運動”が求められているのだと思う。

だからこそ、地域で「バタバタ」「ジタバタ」してみる年にしたい。亡くなられた上杉中央委員長が、「村自慢。支部自慢」という名言を残したように、「一支部、一社会的起業」を確立させるために、腕まくりして頑張ってみたいと思っている。社会福祉法人でもNPO法人でも、株式会社や社団法人など、多種多様なニーズに応える社会的起業を、それこそ各支部の支部自慢と言える社会的起業の確立を府連がバックアップして、立ち上げていきたいと思っている。

そのためには、HRCビルに拠点を置く、大阪府連と各支部という距離感を縮めるためにもブロック事務所の機能を強化し、一定の権限と財源をもつブロック事務所が陣頭指揮をとれるよう組織形態そのものを根底から変えて行きたいと思っている。「本部と支部」、「上部団体と下部団体」という組織形態ではなく、フラットなヨコつながりのネットワーク型組織に切り替える意味でもブロック主体の運動展開は重要な意味を持つと考えている。

とにかく動き回り、ひとつでも二つでも、「あの支部にNPO法人ができたでぇ」「隣保館の指定管理に手を挙げたみたいやでぇ」という声が、ブロック事務所で聞こえるような年にしたいと思っている。

まずは、「隗より始めよ」だ。部落問題解決、人権確立という遠大な目標のためにも、「一支部、一社会的起業」の発足で、部落解放という目的を持った社会運動に取り組んでいく年としたい。