部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2016年7月13日
7月10日投開票の参議院選挙で、3選をめざした民進党・おだち源幸候補は34万票にとどまり、落選するという結果となった。3年前の大阪選挙区においても民進党(当時、民主党)候補が惨敗するという結果を考えれば、大阪における民主勢力の低迷、リベラル派の衰退は顕著であり、立て直しどころか、解体的出直しを図らなければ、大阪における総保守化傾向に歯止めをかけることは不可能という危機的状況であるという認識からコラムをスタートさせたい。
今回の参議院選挙を振り返れば、全国的には野党第一党の民進党は、改選議席の43を大きく下回る32議席に止まり敗北した。岡田代表は、「前回13年参院選の17議席というどん底からは回復しつつある」と言ったが、32の獲得議席のうち7は、共産党などとの野党統一候補として辛うじて当選したのであって、自力の勝利ではない。それを差し引けば25議席というのが民進党の実力として見ておくべきだ。 それに対して、32の1人区すべてで実現した野党統一候補が2桁に乗せる11で議席を獲得したのは、この逆風の中では、大健闘と言えるだろう。とりわけ福島と沖縄で現職閣僚2人が落選。特に辺野古基地建設と米軍人の犯罪で揺れる沖縄で圧勝したことは、安倍内閣にとって大きなダメージであろう。
この間の政治課題であったTPP問題、原発、沖縄の辺野古基地問題、「保育所落ちた」、そして安保法制反対=改憲なども、市民の“素”の声であり、組織された反対でも団体による利害対立でもない。本質は「いのち」の問題であり、とりわけ女性たちは安倍政治によって「いのちが脅かされている」と直感しているのである。この選挙を機に学生グループSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)は解散する。確かなのは、緩やかに連帯した若い世代の潜在的な力を引き出した功績は大きく、政治の世界に新風を吹き込んだことは間違いのない事実だ。こうした多様な価値観の時代を認識し、それを緩やかに包含するという政治スタイルがいまだ未成熟ではあるが、多彩な顔触れの民主主義の萌芽であり、ここに導いていく政党が、民進党であったはずではある。しかし、実際は従来の組織選挙から脱皮できなかったことで、有権者からの支持が離れていったと捉えるべきだ。
イギリス国民が、EU離脱を選び、アメリカ国民がトランプ氏を大統領候補に押し上げたりしているのを見れば、世界資本主義の行き詰まりの中で先進国社会のどこもがゆとりを失い、目先の利害だけでついうっかり誘導されるように投票してしまうという大衆心理の“情動化”が広がっているようだ。日本もその例外ではなかった。遠くない将来、この選挙が戦後日本の転換点だったと言われる事態を招くかも知れないのだ。それは、一部野党を加えた改憲勢力が全議席の3分の2を超えたことだ。大阪選挙区(定数4)は自民、公明、おおさか維新2議席の改憲勢力によって独占された。戦後初めて改憲案の国会発議要件が整う可能性を持ったことになる。多くの有権者は「そんなことは求めていない」「投票の選択基準にはしていない」と言うだろう。首相や与党が訴えたのは、アベノミクスの実績や社会保障の充実だったではないかと。イギリス国民の多くが「離脱が勝利するならEUに留まる方に投票したのに」と嘆いている場面がテレビで紹介されていた。「遅きに失する」とはこのことだ。
野党共闘に一部の可能性が見いだされたのが今回の参議院選挙だ。ひょっとすると東京都知事選挙でステップアップした野党共闘による選挙が実現するかもしれない。自民一強時代に対抗するためには、小異を残して大同につくという野党共闘による候補一本化で対抗しなければ勝利の展望が切りひらけないことは言うまでもない。政党による野党結集と権力を意のままに操る安倍政治に不安を感じ始めている市民の結集によって、「政治の流れを変えよう!」という首都・東京からの新しい風に期待したいところだ。