Vol92 「ひろがる えがおプロジェクト」へのご協力に感謝

「子どもたちに笑顔を届けたい」とスタートした「ひろがる えがおプロジェクト」が大きな反響を呼んでいる。
テレビや新聞などに大きく取り上げられ、ここふーどばんくOSAKAにも激励の電話やFAXが頻繁に送られてきている。
「ひろがる えがおプロジェクト」の第3弾としてスタートした大阪府内の障害を持つ子ども達が通う府立の支援学校42校に大量の菓子やジュースを届けるとりくみを行った。9月5日から9日までに配達を完了した。大阪食品流通センターをはじめ、輸送にご協力いただいた(株)東陽運輸など関係者の方々にあらためて感謝申し上げる。

この「ひろがる えがおプロジェクト」は、5月下旬に倒産した食品輸入会社の管財人になった弁護士から、在庫を活用してほしいと連絡を受けたことがきっかけでスタート。賞味期限に余裕のある大量の菓子やジャム、レトルト食品、ジュースなどをいただいた。
これをわたしは、フードバンク活動を世に知らしめるチャンスにすることが出来るのではないかと理解し、当然生活に困窮する子どもたちへの応援も含め、イベントなど多種多様に活用することを通じて、フードバンクの意義が伝わり、支援を受けたいという人に伝えることができる-いわば家にひきこもっている子どもたちや食べることに困窮している子どもたちの“発見の場”となるようプロジェクトをスタートさせた。

第1弾、第2弾としてとりくんだのは、現在ふーどばんくOSAKAと契約をしてもらっている140を超える団体・施設はもとより、さまざまなところに「ひろがる えがおプロジェクト」を案内し、のべ73団体に大量のお菓子・ジュースなどを届けることに成功した。
そして、今回大阪府立の支援学校42校への配達という第3弾にチャレンジしたわけだが、「生活の厳しいひとにフードを届けるというのが、フードバンクの趣旨では?」「支援学校?違和感覚える」「なぜ支援学校なのか、意味がわかりません」との質問をいただいた。
また、「せっかくの好意が人権侵害になってしまう」との叱咤激励までいただいた。

今回のプロジェクトについて、ご理解いただきたいのは、寄贈いただいたお菓子類がわたしたちの予想を超える大量の食品であったという点である。10トントラックで6台分もの量であったため、賞味期限も含め緊急に対応せざるを得なかったことをご理解いただきたい。

第2は、この第3弾のプロジェクトに障害を持つ子ども達が通う府立の支援学校をなぜ、選んだのかという点については、障害者差別解消に対してポイントとなっている合理的配慮という視点を実践で展開しようと思ったからである。
ここで言う「合理的配慮」とは、「障害のある方が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障害のある方に対し、個別の状況に応じて行われる配慮をいう。」というのが、厚生労働省の説明だ。つまり、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現につなげることを目的とするなら、フードバンクという食を通じて共生社会実現のために寄与するということも立派なフードバンクの意義になると解釈したからだ。

決して、障害を持っているかわいそうな人たちへの食糧支援などではない。ましてや施しなどでは決してない。障害を持っていることによって存在する社会的障壁に対して、食を通じて相互交流することによって、共生社会実現への実感を少しでも参加したボランティアさんと障害を持つ生徒さんとで共有できればとの思いから42の支援学校への配達を決めたのである。
届けるボランティアも手渡された子どもたちも笑顔がつながったと思っている。これこそが、このプロジェクト最大の成果である。
あらためて参加していただいたすべての皆さんに感謝申し上げる。