部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2016年10月13日
「1億総活躍社会」「女性活躍社会」「待機児童の解消」など、政府肝いりの政策が踊っているが、現実は、まったくと言っていいほど機能していないし、インフラ整備は遅々として進んでいないのが現状だ。政府は「希望出生率1.8%」を目標としているが、子育てしながら働くための条件整備がまったく整っていないのが日本の状況である。予算の使い方を見てみても年金には、53.5兆円、医療費に36兆円と多くの予算が割かれる一方、子ども・子育てにかける国予算は、6兆円前後というのが実状だ。育児先進国といわれるフランスはGDP比で2.85%を占めているが、日本は1.3%と半分以下というお粗末な予算配分である。待機児童対策を前進させるには1兆円程度でまかなえると言われていることをみても、子どもへの未来投資があまりにも不十分であることが伺える。
若い人たちという一定の層が高齢者を支えるという社会から、困っていない人たちが困っているひとを支えるという社会にすべきであり、「若者」対「高齢者」という敵対的な構図の捉え方ではなく、孫の世代がこれから体験しようとしている閉塞感の強まっていく社会や、地球温暖化、災害大国日本に供えるための防災や安全、社会保障の継承など、未来の日本に託すべき投資という観点とこれからを担う世代とのコラボレーショーンで新たな日本のビジョンを創るべき時代のようだ。
欧米では、「物事をやりぬく」「ひとの気持ちが分かる」などの非認知能力は就学前にどんな教育を受けるかでほとんど決まってしまうという研究結果が出ており、就学前教育に予算配分を重点的にまわしている国も少なくないらしい。未来への投資という観点からも子ども・子育てに重点的に予算を配分するという大胆な発想も必要だ。
大阪市が、「こどもたちの未来が生まれ育った環境によって左右されることなく、自分の可能性を追求できる社会の実現をめざし、行政が的確な施策を行うため、正確に現状を把握する必要がある」との考え方から、今年に入って、「子どもの生活に関する実態調査」が行われた。今回の調査は、大阪市立の小学校5年生の全児童とその保護者、中学校2年生の全生徒とその保護者を対象に実施された。
単純集計ではあるが、「あなたは、週にどのぐらい、朝食を食べていますか」との問いに、「まったく食べていない」と答えた小学生が161人、中学生に至っては388人で全体の2.0%にも及んでいる。また、週に1回程度と週に2〜3回を含めると5.3%となり、あわせて7.3%の小中学生が週3回程度しか朝食を食べていないことになる。また、食べていないと答えた人たちへ、その理由を尋ねた項目では、用意されていないが4.5%、食べる習慣がないが5.3%となっている。さらに、「おうちの大人の人と一緒に朝食を食べていますか」との問いには、まったくないが13.8%、ほとんどないが15.9%とあわせて29.7%と約3割もの子どもが大人と一緒に食卓を囲むという朝食になっていないという結果となっている。また、「あなたは、いやなことや悩んでいることがあるとき、誰に相談しますか」との問いに対しては、だれにも相談できないが4.1%、だれにも相談したくない11.8%、あわせて15.9%の子どもたちが孤立・孤独といった傾向にあるという結果が紹介されている。
子ども食堂が各地にひろがるという実情は、こうした大阪市の傾向から見ても伺い知れる訳で、“子どもの貧困”というテーマは、わたしたちが思っている以上に深刻な問題といえよう。経済的理由や家庭のネグレスト(育児放棄・育児怠慢)によって、食べるという権利を侵害されるという子どもの実態は、親の責任という範囲を超え、社会的に支援すべき課題となってきている。フードバンクの活動がますます役割を増して来ているようだ。