部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
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コラム | 2018年1月19日
1月11日朝日新聞朝刊の全国版2面で、「増える備蓄食 悩む自治体」と題してふーどばんくOSAKAの活動が紹介された。震災などをきっかけにした防災備蓄食糧の増加で、自治体が費用負担や大量廃棄の問題でジレンマに陥っているという内容の記事だ。
記事の中で、大阪府が初めてふーどばんくOSAKAに約1万食の防災備蓄品を提供した事が紹介されている。ただ、全国各地のフードバンクでは、困窮対策として簡単に自治体の防災備蓄品を受け取っている訳ではないとの記事も同様に紹介されている。その理由として挙げられているのは、「数十人分が入った米や2リットルの水は大きすぎて配布しにくい」と言った意見や、「我々は都合のいいゴミ箱ではない。『困っているなら何でも食べろ』というのは自己満足だ」との意見も紹介されている。
現在、ふーどばんくOSAKAでは、独立行政法人福祉医療機構(WAM)助成金を活用して「困窮者支援モデル事業」を実施している。(水平時評115号参照)
これは、子どものいる生活困窮世帯に対する食糧支援であり、1週間から10日間程度の食糧を箱に梱包して宅配で届けるという事業で、その配送費用をWAMの助成金を利用して実施している事業である。
この事業に対して、ふーどばんくOSAKAに1通の手紙が寄せられた。
「今回2回目の支援提供をいただきました。箱を開けるのがとてもワクワク楽しみで、中学生の子どもも大喜びで、開けるなり『これ食べていい?これもらっていい?』とニッコニコです。(普段は思春期の反抗期でふてくされた態度なので、ギャップが楽しいです。)幸せな贈り物を本当にありがとうございます」
なんとも有り難い内容だ。
行政や企業からの防災備蓄品を紐解いて、それぞれの箱に仕分けして家族の人数分にあわせた支援ボックスに手作業で仕上げているのは、ふーどばんくOSAKAのスタッフであり、ボランティアさんだ。備蓄食糧の袋を開けて丁寧に仕分けし、それを宅配する。すなわちフードバンクに寄せられた善意を仕分けして届けるという作業もフードバンクの任務だと思っている。「もったいないをありがとう」に“変身”させる共同作業が、自治体の備蓄食糧を受け入れる側の役割だと認識しているからだ。
橋渡しを担うわたしたちの任務は、役所や企業が大量の備蓄の処分に悩む一方で、生活に困り、明日食う米さえままならないという課題が横たわっているという現実を直視し、生活に困るひとが食糧を受け取れる居場所をつくりだすことと、それを配布できる仕組みをつくりあげること。いわば“食のマッチング”とも言うべき、つなぎ合わせるという活動が、フードバンク事業の本旨だと理解しているからでもある。
行政の生活困窮者支援の窓口の人たちからも次のような声が届けられている。
「送られてきた食品の中に使い方がわからないとの連絡をもらい、その説明を通じて少しずつ関係づくりができてきました」といった支援者の方の声。
「インスタント食品ばっかりの生活から簡易調理をするようになってきました」といった宅配食品を受け取っている方の感想。
さらには、「配達時に初回は玄関から見える家の中が、まったく整理できていなかったのが、回を重ねるごとに少しずつではあるが、整理されてきています」といった支援者の声も届けられた。
まずは、「なんとかお腹を満たせることができる」という状態をつくりあげ、そこから生活の質や健康状態、仕事への可能性などを探求していきたいものだ。
やっぱり、宅配のボックスの仕分け、これからもとりくむ価値があるようだ。