部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
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認定NPO法人ふーどばんくOSAKAが、農林水産省の助成事業を受託。「食品ロス削減を推進する」と題して、フードバンク活動の持続可能な基盤づくり等を目的に、活動拠点の堺市に所在する関係団体・機関等に参画いただき検討会を9回にわたって開催した。この度、その検討会の報告書がとりまとめられた。今回の報告書とりまとめにあたり関係各位のご協力に感謝するとともに、今後もふーどばんくOSAKAへのご支援、ご協力をかさねてお願いしたいと思う。
フードバンク事業を実施していく上で、取り扱う食品関連で言うと「食品リサイクル法」「廃棄物処理法」「食品衛生法」という三つの法律との関連性が問われており、フードバンク事業の位置づけと方向性について、この報告書が以下のように指摘している。
「食品リサイクル法」は、フードバンク活動がまったく想定されていなかった2000年に制定された法律であることから、法律の枠内ではフードバンク活動の位置づけがなく、「再生利用等」の“等”という位置づけにフードバンク活動があると解釈するのが妥当だと報告書は指摘している。
一方、「廃棄物処理法」では、フードバンク取扱い食品は、「不要物」に該当するものとなり、食品の性質と状態からは有償で売却できるが、占有者の意思で有償売却しないという取扱いになることから、取り引きそのものへの価値がなくなり「廃棄物」として取り扱うことになるという“法的に複雑な廃棄物”に該当すると報告書は結論づけている。
しかし、フードバンク活動にとりくむ者として、“法的に複雑な廃棄物”という位置づけは、名称からして違和感をともなうものであり、ここは、「食品ロス削減活動物(仮称)」とか、「いのちをつなぐ社会活動物(仮称)」といった名称にしてほしいと報告書は要望している。
報告書ができあがったことの報告のために農水省を訪れ、担当者に説明させてもらったが、開口一番“フードバンクで取り扱う食品は、廃棄物などではありません”とカウンターパンチを浴びせられた。本来、食品ロスを軽減させることは行政がすべき仕事であり、それを代行してNPO法人がとりくんでいるものであり、決して廃棄物という位置づけではなく、いのちをつなぐ社会的事業として、もっと使命感とプライドを持った社会的起業という自負を持ってはどうですかと農水省の官僚に逆に励まされるという皮肉な結果となった。
食品衛生法の観点からも衛生上の取扱いについて、食品提供事業者とふーどばんく、さらには受領団体(食品受取施設)による申し合わせ事項や留意事項などをあらかじめ定めておき、お互いの契約内容に盛り込んでいることで食品衛生法上は支障ない。しかしながらフードバンク活動は法の狭間に位置付いており、現行の法制度の解釈から言えば、“法的に複雑な廃棄物”ということになってしまいかねないとの危惧を抱かざるを得ない状況であり、あらためてフードバンク活動に対する国の見解、地方公共団体の見解が求められているという段階にあるとの認識を深めた。食品ロス削減推進事業としてフードバンク活動が位置づけられる必要性を痛感したところである。
検討会は貴重な意見をいただく場ともなっており、今後のフードバンク活動への提言として検討すべき課題もある。
「フードバンクの取扱い食品は生活困窮者がいのちをつなぐ食べ物を孤食ではなく、心ある人とともに食することで元気になれる最適なアイテムである」との意見。
「生きる意欲が高まることは金銭評価しがたい指標だが、とりあえずは共食者の数をきちんと調べ、食品提供元事業者に報告し社会的意義を見える化した方がよい」との提言。
さらには、「フードバンク活動は、国連が提唱する『SDGs(持続可能な開発目標)活動』の目標2.『飢餓の終篇、食料安全保障と栄養の向上の達成、持続可能な農業の促進』、及び目標3.『健康な生活の確保・福祉の促進』、目標12.『持続可能な消費及び生産形態の確保』等と密接につながりある未来創造型事業である」との崇高な活動であるとのお褒めの言葉まで頂いた。
フードバンクという複合型の事業は、現在の各省庁間の縦軸ではなく、横軸で検討せねばならない課題だとの結論に至った。これからは国や地方自治体に働きかけ、持続可能なNPO活動として、フードバンクが地域に根づくようふーどばんくOSAKAが、その先駆的役割を担うことだ。