部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2019年1月29日
今年に入って、新春の集いや各新年会で、「アンダークラス」という言葉が飛び交っている。
非正規の労働者で、パート主婦、専門・管理職以外の一定の所得階層を差し、日本には930万人存在し、就業人口全体の15%ほどを占めており、その数値は急速に拡大しているらしい。
最も深刻な問題は所得で、平均個人年収は186万円と極端に低い。また、貧困率は高く、38.7%にものぼっており、とくに女性では47.5%にも達し、さらに夫と離死別した女性となると63.2%にも跳ね上がるというデータさえ存在する。
こうした経済状態だと、結婚して子どもを育てることが難しことはいうまでもなく、きわだった特徴は、男性で結婚している率が低く、女性では離死別者が多いことである。男性の配偶者有りはわずか25.7%で、未婚者が66.4%にも達している。アンダークラスの男性が結婚して家族を形成することが、いかに困難であるかがよくわかる。
女性の場合、既婚者は定義の上でパート主婦に含まれるため、すべてが無配偶者だが、このうち離死別者の比率は年齢とともに上がり、20歳代が11.5%、30歳代が37.5%、40歳代が60.9%、50歳代では約80・0%と言われている。
こうした階層は、小中学時代いじめを受けた経験者が3割程度、不登校経験者も1割、中退経験者の割合も高く、健康状態が良くないと自覚する人は4人に1人の割合だと言われている。男性のアンダークラスの44%が塾や予備校等の学校教育を受けたことがないという。
周りに支えになる人の存在も少なく、親しい人も少なく地域の集まりや趣味の集い、同窓会にも参加しない。信頼できる友人・知人は男性で3.2人しかいない。将来の生活に過半数の人々は不安を感じている。
若年、中高年、高齢者、女性と幅広い層に存在しており、脱出困難な貧困状態に置かれた人々。“アンダークラス”という新しい階級の出現を指摘する声が急速に高まってきているのである。
また、生活に不満を持ち続けるアンダークラスの人々はどの政党も支持せず、政治に対する関心すら失っているという数字が紹介されている。脱原発、平和主義や憲法擁護、環境保護等のリベラルな政策を必ずしも支持しているわけではなく、森友学園や加計学園問題等にもまったくと言って良いほど感心を示していない。つまり、テレビや新聞等で報道されている政治的出来事に対して、無関心であり、自分の生活と結びつくことのない、別世界の出来事として受け止めており、貧困や社会的排除に抗い、脱出しようという試みまでには至っていないという現状のようだ。
自民や大阪の維新支持層では、アンダークラスの人々に対して、「所得の再配分」やベーシックインカム(政府がすべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する制度)などはまったく認めない立場だろう。「努力せぬ者に与えな」「貧困や排除は自己責任」という考え方が底辺に存在しているようだ。
しかし、就業人口の15%、無年金状態にあるひとり暮らし高齢者世帯などを加えると全世帯数の3割以上に達することになる。
アンダークラスを放置することなく、減少させるための手を打たないと社会が壊滅的打撃を受けることになるのは火を見るよりも明らかだ。
立憲民主党を中心とする野党が、格差と貧困を解消し、アンダークラスの人々の居場所と出番を確保し、社会を立て直すビジョンを統一自治体選挙で打ち出し、自民党や大阪の維新とはひと味違う政策を発揮しなければ、選挙戦そのものに埋没してしまうことになるだろう。
違いを際立たせる選挙戦術とは如何にあるべきか・・・わたしたちもその役割を担っていることを自覚し、事にあたりたいものだ。