部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2019年9月11日
デイヴィッド・シプラー氏というひとの言葉が目にとまった。
ピューリッツァー賞を受賞した元ニューヨーク・タイムズの記者と紹介されていた。
アメリカの貧困層の実態を描いた「ワーキング・プア アメリカの下層社会」という本を出版されたひとである。
そこでは、貧困状態に陥るきっかけについて、以下のような例が紹介されていた。
シプラー氏によると、1つ目のちょっとした不運が2つ目の不運を呼び、連鎖していくことで負のスパイラルに陥ってしまい、貧困から這い上がりにくくなる、というのが先進国の貧困の特徴であると記されていた。
日本の場合、こうした貧困状態に落ち込んでいくきっかけに離婚が大きな要因として挙げられるのではないかとする考え方が広がってきているらしい。
「母子家庭」は日本ではどれくらい存在するのか。厚生労働省の「平成29年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」によると、母子世帯は約123万2000世帯となっている。
最初から未婚のままシングルマザーとなった世帯や、死別によってシングルマザーになった世帯もあるのだが、ひとり親世帯になった理由の79.5%は離婚によるものらしい。
こうした母子家庭の生活状況は決して豊かではなく、相対的貧困率は54.6%で、約半数が貧困に
あえいでいるという調査結果だ。
また、母子家庭の18.2%、つまり約2割の母親は仕事を持っていない状態であり、仕事を持っていても母子の43.8%は非正規の状態にある。シングルマザーは無職と非正規で合計すれば、実に62%を占めているということになる。
子どもを抱えてフルタイムの仕事はなかなか難しい。子どもに時間を取られて仕事に打ち込めない。できる仕事は非正規のパートタイムばかりで、それも子どもの都合でどうしても休みがちになることが多いようである。
では、この非正規で働いているシングルマザーの平均年間収入は125万円と厚生労働省の資料「ひとり親家庭等の現状について」で紹介されている。125万円と言えば、一ヶ月約10万円であり、元パートナーからの養育費がきちんと払われていればまだしも、滞っているケーズが少なくないという現状から見れば、月10万円で母親と子どもの生活を成り立たせているという厳しい生活実態にある。
シプラー氏の言葉を借りれば、月10万円というギリギリの生活の次にやって来るのは、貧困に陥る負のスパイラルだ。子育てへのやる気が失せ、家の掃除や家事が億劫になり、知らぬ間に家は荒れ放題、いわゆるゴミ屋敷化し、子どもに対しては、育児そのものを放棄してしまうネグレクトととなり、最終的には、ついつい子どもに手をかけてしまうと言う身体的虐待にまで発展するケースも少なくない。
こうした貧困の負の連鎖をどこかで断ち切り、貧困状態から抜け出すためには、シングルマザーだけでこの問題を解決するのは非常に難しく、社会問題として可視化させ、それこそ地域が寄って集ってこの問題を解決していくという合わせ技が必要だろう。
このひとつの試みが「おすそわけ食宅配」という事業展開である。
シングルマザーの家にふーどばんくOSAKAのダンボール箱が届く。2週間分の食料だ。
お腹を満たして心に余裕を持ってから、さあ〜仕事を見つけに行くか。役所に相談に行くか。地域で相談に乗ってくれそうな団体を探すか。がんばれ!!!