部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2020年11月10日
とにもかくにも「大阪市を廃止し、特別区に四分割」を求めた住民投票の賛否が決した。反対が多数となった。大阪維新の勢い、コロナ対応に見られた吉村大阪府知事の全国人気とあわせて当初は、維新側の圧勝、つまり賛成が多数を占めると予想されていた。わたしも正直厳しい闘いではあると理解していたが、○か、×かの二者択一という性格上、そうそう差は広がらないものの最後には維新が勝利するのではないかとの思いを巡らしていた。
しかし、住民投票の本番を迎え、それこそ雨後の竹の子のようにつぎつぎと反対派の団体が登場し、党ではなく市民が前面に出た住民投票となった。マスコミはこぞって、維新対自民の構図を展開し、松井市長には、北野妙子自民党大阪市議団幹事長を、公明党の土岐さんには、共産党の山中さんをクローズアップし、全面対決の様相を報道した。だか現実は、市民による下から湧き上がるようなグツグツとしたマグマのような活動が活発となり、最後には賛成派を上回った市民運動の反対行動が上昇に上昇をかさね勝ち取った勝利となった。
この反対により、大阪市は存続することとなった。しかし、この反対派の勝利には、同床異夢が内実しており、「良かった。現状維持だ」や「今のままを守った」とする“このまま派”と、「つぎは区役所機能を強化し、財源と権限をもっと区に持ってくる改革をすべきだ」とする“政令指定都市という高度な自治を残した改革”を求めていく派とに分類されていくこととなる。はやくも松井市長は、公明党を巻き込み“24区から8区に再編した総合区案”を来年2月の議会に提案したいとの意見を発表している。反対を投じた70万近くの市民の中には、区の名前変更への抵抗感は強く、今度はそれを住民投票ではなく、議会でのみ条例化させる事への賛否が問われることになりそうだ。
つまり、市民を分断するような対立型の住民投票ではなく、住民投票という最終手段にまで至らないよう議会での議論が先行されるべきものであり、少なくとも議会同意が得られるまでの丁寧な議論が必要であり、慎重の上にも慎重を期すという謙虚な態度が求められたのではないだろうか。それが、吉村人気にあやかる絶好機だとする時期の問題と、来年には必ず開催される衆議院総選挙前に公明を牽制するという政治的駆け引きというダブルスタンダードが、維新をして住民投票にまで分断と対立を持ち込ませることとなってしまった。“一種の賭け”でもあったのだと思う。
維新側にしてみれば、都構想で勝利し、その余勢をかって来年の衆院選で全国政党として躍進して、あわよくば自民党との連立に加わろうという野望が見え隠れしすぎたのが致命傷となったとわたしは見ている。現在の菅政権や安倍政権下で何かと隙間風が吹くようになった公明党を牽制し引き寄せておくためにも維新というカードを活用しようという菅首相の思惑も誤算となったと見ておく必要がある。こうした政治ショーが前面に出たため、肝心要の統治機構そのものの論議が棚上げされ、結局は、130名を超える多くの学識者から特別区設置協定書があまりにも杜撰であるとの指摘に応えきれなかったことも維新側の敗因として現れた。
府連は、市内ブロックを中心にREALOSAKAに結集し、連合や自治労、多くの市民団体の仲間と共に闘った。なんとか僅差ながら都構想を再び否決させた。これで、大阪市廃止と特別区四分割を阻止するという結果となった。しかし、維新は主導権を譲るつもりはなく、即座に“総合区案”を提案してきた。それでは何のための住民投票であったのかとの疑問が報道されはじめている。こんな声にお構いなく、来年2月の大阪市議会での論議がスタートするような勢いだ。市議会での攻防には期待するが、市民の声としてわたしたちなりの提案も必要となって来ている。
「○○区という愛着があった行政区名が変わる」との抵抗もあるだろう。「介護保険が一部事務組合となり三重行政だ」との批判も噴出した。また、「住民投票に外国籍の住民が投票できなかったことを受け、投票権の拡大を訴える」との市民運動も新たに登場したことなど、住民投票で幾つかの課題が見え隠れした。こうした課題に応えるわたしたちの市民運動が切望されているように思う。引き続き時代の趨勢に応えなければならないようだ。