部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
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コラム | 2023年4月11日
2023年4月9日、前半戦の統一自治体選挙が終了した。
「維新の会」の圧勝。大阪に至っては、府議会、大阪市議会ともに過半数以上を獲得し、知事、大阪市長とともに絶対的多数を形成するという布陣となった。
大阪市議会でひとつの会派で過半数以上を獲得するのは市政はじまって以来のことでもあり、そう考えれば、圧倒的な勝ち方を収めたことを物語っている。
圧倒的な勝利を背景に、「大阪都構想」三度目の挑戦という可能性が現実味を帯びるという事態まで想定せざるを得ない状況となってきた。
統一自治体選挙の前半戦の大きな特徴は、SNS選挙ともいうべき“つぶやき”や“書き込み”、“投稿”が有権者の大きな判断基準となった点にあるのではないかと思っている。
それは、「大阪を元に戻すな」というフレーズや「太田府政まで続いた大阪に逆戻りさせるな」というワンフレーズによる“刷り込み選挙”ともいうべきイメージを先行させ、そうした考え方を社会的に認知させていくため、ウェブサイトを巧みに利用したレッテル貼りが、見事功を奏して成功した選挙ではないかと思っている。
「大阪の自民党は中央からも見放されている」とか、「谷口、北野は労働組合や解放同盟が応援する既得権復活を標榜する候補者」という点に焦点をあて、ネガティブな嫌悪感を醸しだし、それを再三再四ウェブサイトで繰り返すというSNS選挙が展開された。
こうした「ステレオタイプ」ともいうべき脅威は、「改革の側は維新」にあり、「旧態依然たる守旧派の側は自民と立憲」にあるという対立軸だけを煽り、前に進めるか、後戻りさせるかという二者択一を迫るという選挙戦に持ち込んだことが、圧倒的勝利を呼び込んだ要因だと言えるだろう。
「太田府政まで続いた暗黒の大阪に逆戻りさせるな」とつぶやいているユーザーの傾向を見てみると、ほとんどの場合、20代から30代前半という年齢階層のひとが多いようである。しかし、太田府政が終了したのは、2008年であり、今から15年も前のことである。本当に暗黒の時代をこうした年齢のひとたちが、体験として持っているという世代なのだろうか。つまり、刷り込み情報による認識が、いつしか偏見に変わり、元に戻したら大阪はたいへんなことになるというステレオタイプに変容してしまっているというのが現実ではないだろうか。
たとえば、社会全体に空気のように認識されている「女性はリーダーシップ力が欠ける」というイメージのことをステレオタイプと呼び、このイメージをもとに女性のリーダーや上司に不満を感じやすくなるというのが偏見のスタートであり、結果として女性を役員などの重要ポストには登用しないという差別的な対応になっていくという一連の差別的なプロセスを最近では、“人権のデューデリジェンス”と提起されている。
さらには、男性社員には決して言わないのに、女性社員にだけには「早く帰らないと子どもが大丈夫かぁ?」と言うのも、「子どもは女性が育てるもの」という無意識のバイアスのあらわれと言えるだろう。現実には、こうした無意識のゆがみが、便利で生活しやすい大阪にしてくれたのは維新政治であり、大阪が暗黒な時代の時は、自民と民主による政治だという無意識のバイアスがかかり、投票行動としては、やはり選択は、維新の候補という結果につながっていったのではないだろうか。
とはいうものの投票率はきわめて低く、維新の支持率が高いが、「政治そのものに関心がない」という階層が一番の支持率である。つまり、有権者が政治に閉塞感を持ち、またまだ関心が薄いというのが、政治状況である。もっと地域に身近で関心事ともいうべき生活に密着した政策を有権者に向けて発揮するという政治集団の到来が求められて然りである。
国では、LGBTQら性的マイノリティーに対する差別禁止の法律の議論が声高に叫ばれたが、統一自治体選挙では、語られることなく、触れられない課題でもあったようだ。人権や教育、福祉に労働といったわたしたちの生活の密接に関係のある政策がひとつでもふたつでも争点として政策論争されるような自治体選挙に持ち込んでいくことが重要な争点づくりのひとつでもある。
後半戦に期待したい。