部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
コラム | 2013年4月4日
4月がスタートした。4月は新年度という言葉が伝えるように1年の節目の時期。とくに小学校入学、小学生から中学生へ、中学から高校へ、高校から大学へ、そして就職など、人生の門出の時期でもある。そんな時期に、NPO法人ライフリンクのウェブサイトで紹介されていたデータにショックを受けた。承諾を頂かず掲載することをお詫びしながら皆さんに紹介する。
ライフリンクは自殺防止に取り組んでいるNPOだ。そのサイトには「めざすもの」と題し以下のような活動趣旨の説明がなされている。
「『いのちを守るために、みんなで つながりあっていこう』 『自殺に追い込まれていく いのちを、 みんなでつながりながら守っていこう』。私たちは『ライフリンク』に、そうした決意を込めています」
「めざしているのは『生き心地の良い社会』を築き上げること」
「現代日本社会の自殺の多くは、社会的な対策があれば『避けることのできる死』です。その意味で、自殺対策とは『生きる支援』『いのちへの支援』でもあると言えます。誰も自殺に追い詰められることのない社会。自殺で大切な人を亡くした人が安心して悲しむことのできる社会。それはきっと、自殺とは無関係と思っているひとりひとりにとっても生きていて心地の良い社会であるはずです。『生き心地の良い社会』の実現をめざして。ライフリンクは『つながり』をキーワードにした自殺対策、「いのちへの支援」に取り組んでいます」。
こうした重いテーマに挑戦されている問題意識のなかから、新社会人が働き始めたこの時期に直面するシビアさを実感させる「就職活動に関わる意識調査」の結果が紹介されている。
警察庁が発表している「自殺の概要資料」で「就職失敗」が原因・動機となった自殺者数が5年前の2007年には16人だったのが、2012年は54人と3・3倍にも増えていると記されている。
厚生労働省が毎年発表している「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」 によると、2012年3月大学卒業予定者のうち就職希望者数は40万6千人で、そのうち就職できたと予想される内定者は32万7千人。単純計算で約7万9千人が「就職失敗」をしたと推計されることになる。
この「就職失敗」をした7万9千人のうち、上で紹介したように、54人が「就職失敗」によって自死に追い込まれてしまっていると推察している。
その背景には、就活生の異様な生きづらさの蔓延と、ブラック企業や非正規雇用の増大などの雇用・労働状況の劣悪化とともに、就活を失敗した大学生への社会的な支援・援助がないことなどが関係しているといわれている。
就活に取り組んでいる学生の意識については以下に取り上げられている。就活生(意識調査の対象は昨年12月1日の就職活動解禁日時点で就職活動を行っていた大学生121人)の半数以上が▽日本社会はいざという時に何もしてくれず、(「何もしてくれない65・0%」「援助してくれる35・0%」)▽やり直しがきかい社会で(「きかない社会だ57・5%」「きく社会だ42・5%」)▽正直者がバカを見て、(「バカを見る社会だ68・9%」「報われる社会だ31・1%」)▽あまり希望を持てない社会だ(「あまり希望を持てない社会だ63・3%」「希望を持てる社会だ36・7%」)と感じているという深刻な調査結果が示されている。
また、困難が生じた原因や対応について、その責任すべてを自分に向ける傾向が強いことも紹介されている。困難が生じた原因を-(「自分の中に探る82・5%」「外部や環境の中に探る17・5%」)と「自己責任」に転化する傾向が強く、さらには、現在、本気で「死にたい」「消えたい」と考えている学生は10・0%で、「以前は考えたことがあったが、今はない」が27・3%、あわせて37・3%の学生が本気で「死にたい」「消えたい」と考えたことがあるという結果になっている。
さいごに、就職活動について、納得できないことや不満に思うことがある学生は74・8%にのぼっており、自由記述欄には、「新卒一括採用でほとんど将来が決まってしまうこと」「不透明な採用方法」「就活のための大学生活になってしまっている」「みんなが同じ格好をして、同じあいさつの仕方を身につけることが前提となっていること」「面接官との相性が運に左右されてしまう点」「学生一人ひとりの人間性をもっとよく見てほしい」「選考から外れるたびに自分という人格が否定されているように感じる」「資金がとてつもなくかかる」「学歴差別が未だにあること」などが就活への不満としてあげられている。
社会の閉塞感は、新規学卒の学生に深刻に広がっているようである。果たして、夢のある社会やライフリンクがめざす「生き心地の良い社会」は実現できるのであろうか。深刻なほど夢や希望がもてない人たちが憂いに沈んでいる社会であることをあらためて思い知らされたデータである。部落解放運動にも同じ課題が突きつけられている(A)。