大阪で第30回人権啓発研究集会

第30回人権啓発研究集会が2月4、5日の2日間、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)でひらかれ全国から約3500人が参加。1日目は全体会で記念講演、2日目は分科会やフィールドワークで、部落問題をはじめ多様なテーマの人権課題について学んだ。部落解放・人権研究所などで作る実行委の主催。

第1日目の全体会は大阪の部落で活動する太鼓集団でつくる和太鼓ユニット「絆」の力強い演奏で開幕。

主催者を代表して奥田均・部落解放・人権研究所代表理事があいさつし「差別の現実を見抜く科学的な目をみがき、社会での実践力を共有していこう」と呼びかけた。

現地実行委を代表して府連の北口末広委員長があいさつ。「歴史を見ても人権侵害が増え、差別が横行したあと戦争が起こっている。平和、安全、環境、人権は21世紀最大の課題だ」とのべた。

来ひんでは中央本部の西島藤彦書記長、大阪府の播本裕典府民文化部理事(知事代読)、大阪市の吉村浩市民局理事(市長代読)、堺市の竹山修身市長があいさつした。

記念講演ではまず府連の赤井隆史書記長が「新たな部落解放運動への挑戦 大阪の部落解放運動と今後の課題」をテーマに話した。

大阪の部落ではここ20年の間におよそ半数の人口が入れ替わっていること。公営住宅中心で空き家には、経済的に厳しい層が流入しているという調査結果を紹介。いっぽう、世間では「部落に住んでいる」ことをもって、「同和地区出身者」と判断され、部落出身ではない人たちも差別される可能性があることを指摘。ブロック事務所を拠点として、エコー共済やふーどばんくOSAKAの取り組みを広げてるなかで、「貧困」「社会的排除」と闘う運動を強めていきたいと強調した。

講演2では作家で明治学院大学教授の高橋源一郎さんが「戦後70年 憲法・民主主義・人権」をテーマに講演した。

高橋さんは今の社会は「多数派だから言うことを聞けといった、大きい声を持つ強い人のための民主主義になっている」と指摘。自身の子育ての経験や取材から「弱い人が共同体の真ん中にいてこそ、そうでない強い人が本来の自分の役割を知ることができる。それが民主主義の原理だ」と指摘した。

2日目は「部落」「外国人」「障害者」「性差別」「HIV・水俣病・ハンセン病」「見た目・自死・沖縄」の6つのテーマの分科会と「釜ヶ崎・西成」「大正・生野 沖縄・コリアタウン」「大阪とハンセン病ゆかりの地」「リバティおおさか 西浜・道頓堀・千日前を歩く」の4コースでのフィールドワークが行われた。