部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
ニュース | 2016年7月13日
戦前に融和事業の資料としてつくられ部落の地名などを記載した『全国部落調査』の復刻版をネット上で公開。書籍化して販売をもくろみ、部落解放同盟関係者の個人情報を無断でネット上に公開していた鳥取ループ・示現舎に対して損害賠償を求める裁判の第1回公判(河合芳光裁判長)が7月5日、東京地裁でひらかれた。原告の解放同盟からは片岡明幸中央副委員長ら30人の原告と4人の弁護士が出廷。全国からかけつけた同盟員や共闘関係者が傍聴席を埋めた。被告側は弁護士を立てず出版社役員の2人が出廷した。
裁判は第1次で212人、第2次で33人が提訴。原告ひとりあたり110万円、計約2億7000万円の損害賠償を求めているもの。
公判では片岡副委員長と中井雅人弁護士が意見陳述を行い、「復刻版の出版、ネット上への公開は部落差別が現存する社会において、差別を助長し煽動する許しがたい行為だ」(片岡副委員長)、「本人の許可なしにネット上に個人名、住所、電話番号などをさらした行為は名誉権、プライバシー権、差別されない権利を侵害している」(中井弁護士)などとして厳正な審理を求めた。
被告側は「被差別部落出身者は法律上存在しない」などとし、訴えを却下することを求めた。
公判終了後ひらかれた報告集会で中央本部の組坂繁之委員長は「史上まれにみる悪質な事件。これを放置すれば孫子の代まで差別を残す。裁判で闘うと同時に部落差別を禁止する法制定へ全力をあげたい」とのべた
【事件の経過】
戦前の融和事業の資料として財団法人中央融和事業協会が1935年に調査、翌年に刊行した『全国部落調査』には全国5360カ所の部落の地名、世帯数、人口、主な職業などが掲載されていた。
この『全国部落調査』に現在の地名を加えたものを鳥取ループ・示現舎が『復刻版』として今年4月にアマゾンを通じて販売するとの告知がなされた。多くの抗議を受けアマゾンは販売を中止した。
中央本部では鳥取ループと直接面談。差別行為をやめるよう求めたが拒否。3月22日には中央本部が出版社が川崎市にあることから横浜地裁へ仮処分を申立て。異例のスピードで横浜地裁は『全国部落調査』の復刻、販売を禁止する仮処分を出した。
29日には東京法務局が人権侵犯事件として「説示」を行うが、それをあざ笑うかのように鳥取ループ・示現舎は『全国部落調査』の全文コピーと中央本部による申立て書類をヤフーオークションに出品。数多くの違反申告がなされたが150人が入札、51000円で落札された。その後ヤフー社は「違反商品」としてページを取り消したが取引は成立した後だった。
4月4日には横浜地裁相模原支部にウェブサイト掲載禁止の申立てを行い、18日には削除を命じる仮処分が決定。
4月19日、示現舎と経営者ら2人を相手取り、原告ひとりあたり110万円、計約2億7000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。