万年筆は偽物 狭山市民集会に3000人が結集

「証拠ねつ造は明らかだ!東京高裁は鑑定人尋問・再審開始を」狭山事件の再審を求める市民集会が10月28日、東京・日比谷野外音楽堂でひらかれ全国から約3000人が参加。重要証拠の「万年筆」が偽物であることを明らかにした新証拠を武器に全証拠の開示、再審開始に向けて闘うことを決意した。

開会あいさつで中央本部の組坂繁之委員長は「万年筆が偽物、ねつ造であることがわかった。一日も早く石川さんの見えない手錠をはずしたい。なんとしても第3次で無実を勝ち取る。最後までご協力を」と訴えた。

石川一雄さんは「狭山事件は最終段階を迎えた。万年筆にインクが補充された可能性を認めた裁判所の想定が今回の鑑定ですべてくつがえった。今度こそ司法を動かしたい。さらなる支援をお願いしたい」と訴えた。早智子さんは「狭山の闘いが大きく動こうとしている。真実は必ず明らかになる。今度こそ勝利して第3次で終結したい」とのべた。

国会からは民進党の小川俊夫、大島九州男両参議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員があいさつ。

弁護団からは中山武敏主任弁護人、中北龍太郎事務局長が第3次再審の闘いの現状について報告。8月に出された万年筆のねつ造を示す「下山鑑定」や3者協議の様子などについて話し「下山鑑定によって証拠とされてきた万年筆が被害者のものではないことが科学的に明らかになり、警察のでっちあげが証明された」「取調べの録音テープでは死体の状況や犯行の内容を知らない石川さんに警察が情報を与え誘導し真犯人であるかのような調書を作成したことが明らかになった。ウソの自白を鵜呑みにした寺尾確定判決は真実とかけ離れている」と強調した。

えん罪被害者の仲間である足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、袴田事件の袴田巌さんの姉、秀子さんらが連帯アピール。講談師の神田香織さんも狭山事件をテーマにした講談で再審をアピールした。

集会基調を片岡明幸狭山闘争本部長・中央副委員長が提案。ねつ造された万年筆の問題を集会や街頭で訴え、すべての証拠開示と事実調べを実現し、再審開始につなげようと呼びかけた。

市民の会の鎌田慧事務局長が集会のまとめ、西島藤彦書記長の団結がんばろうで集会を閉会。参加者は冷たく激しい雨のなかを石川さんの無実と再審を訴えて都内をデモ行進した。