部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
ニュース | 2016年12月9日
「部落差別解消推進法」が12月9日午後の参院本会議で自民・公明・民進・日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。日本の法律ではじめて「部落差別」という言葉が使われた法律で、インターネット上での差別など新たな状況をふまえて、国に差別解消のための施策を講じる責務があると明記。国が自治体の協力をえて実態調査をおこなうこと。国や自治体に相談体制の充実、教育・啓発をおこなうことを求めている。罰則のない「理念法」だが、国や自治体が部落差別の撤廃にとりくむための「根拠法」となり、今後の部落解放に向けたとりくみに大きな力となる。
法案は今年5月に自民、公明、民進の3党が衆院に共同で提案。衆院で継続審議となり、今国会であらためて議論がおこなわれ11月17日には衆院本会議で可決。参院で議論が進められていた。
12月6日には参院法務委が参考人の意見を聴取。中央本部の西島藤彦書記長がインターネット上での部落の地名リストが、結婚や就職の際の身元調査に悪用されていること。家族が結婚に反対する結婚差別が現在進行形で続いている現実など部落差別の実情を訴えていた。
法律は、第1条の「目的」で、「現在もなお部落差別が存在」し、「情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じている」ことをふまえて、基本的人権を保障する憲法の理念にのっとって、部落差別は許されず、その解消にとりくむことが重要な課題であることを指摘。
第2条の「基本理念」では、部落差別の解消に関する施策は、「国民一人一人に理解を深めるよう努め」「部落差別のない社会を実現することを旨」としておこなうこと。
第3条では「国及び地方公共団体の責務」として、国が「部落差別解消に関する施策を講ずる」とともに、地方自治体の施策推進のため必要な情報提供、指導・助言をおこなう責務があること。
第4条の「相談体制の充実」では、国が相談に応じるための体制の充実を図るとともに、地方自治体に「地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実」を図ることを求めている。第5条の「教育及び啓発」でも、国が必要な教育・啓発をおこなうこと。地方自治体が地域の実情に応じた、教育・啓発をおこなうことを求めている。
第6条の「調査」では、国が地方自治体の協力をえて、部落差別の実態に係る調査を行うことを定めている。
法律は議員によって提案されたいわゆる「議員立法」であり、罰則もない「理念法」だが、はじめて「部落差別」という文言が法律に入った点では画期的なものといえる。
今後、相談や実態調査などのとりくみが進むにつれて、あらためて「救済法」や「差別禁止法」の必要性は高まる。各地で法律の具体化を求めるとりくみを進めよう。