裁判費用など支援 「差別撤廃基金」が発足

人種差別を受けた被害者が裁判を起こす際の費用や救済活動の費用などを支援する「人種差別撤廃サポート基金」の設立総会が4月24日、大阪市中央区の大阪赤十字会館でひらかれた。府連などの呼びかけで設立されたもので、寄付金収入をもとに訴訟費用の無利子での貸し付けや相談費用の交付などをおこなう。差別の被害者支援を目的とした基金は全国初。

支援の流れは▽被害者から電話、面談などで事前相談をうけ支援の可否を決定。加害者との話し合いによる解決をめざすのか、民事訴訟による解決をめざすのか被害者の意向を第一に検討、協議。その場に弁護士や研究者などを派遣する▽話し合いをおこなう場合には、被害者の立場で交渉をすすめるための弁護士、研究者などの専門家を派遣し、その費用を交付する▽民事訴訟による解決をめざす場合には人種差別問題に精通した弁護士を紹介し、裁判にかかる費用として上限50万円を無利子で貸し付け、返済免除規定も設ける、など。

支援は原則として、大阪府に在住、通勤・通学する人を対象とし、差別は狭義の人種差別にとどまらず、国連人種差別撤廃委員会がこれまで勧告してきた部落差別や沖縄、アイヌに対する差別も含む。

原資は500万円を目標に個人1口1000円、団体1口10000円の寄付を募り、事務局はNPO法人多民族人権教育センターが担う。

閉会あいさつで赤井隆史理事(府連委員長)は「昨年、差別解消に向けた3つの法律が施行されたがどれもが理念法であり、まだまだ差別を受けた人が泣き寝入りしたまま声を上げられない現実がある。裁判を起こすのは費用もかかり勇気がいる。そこを支援しようと基金を設立した。まずは民間からスタートさせたが、公的に被害者救済がうたわれる法の制定も求めていきたい」と強調した。

●人種差別撤廃サポート基金