大阪市の奨学金裁判 返還求める不当判決

大阪市が「実質給付」「返還免除」と説明していたにも関わらず突如返還が求められた同和対策の奨学金をめぐる裁判で大阪地裁の柴田義明裁判長(酒井良介裁判長代読)は5月26日、受給者17人に対して奨学金に加えて遅延利息までもの支払いを命ずる不当判決をおこなった。受給者17人は、この理不尽な判決に屈せすることなく控訴の意志を固め、府連もこの不当な判決に断固抗議し連帯した闘いを進めていく。

判決直後、支持者らに不当判決を知らせた

判決は大阪市側が「実質給付」「返還免除」と説明してきたことを認め「受給者が返還しなくてもいいと考えたとしても何ら不合理ではない」としながら、「奨学金の申請書には返還免除の記載がなく、原告と被告の間で返還免除の合意が成立したとは認められない」「当時の市の職員がそのような(返還免除)説明をした可能性はあるが、職員は市を代表するものではない」「返還を免除するには議会の議決が必要で内規は無効」などと大阪市側の合理性のない主張を全面的に認めて受給者に支払いを命じた。

そもそも議会の議決を怠ったのは大阪市側である。同様の経緯があった大阪府の奨学金については議会議決をしており何ら問題は生じていない。極めて理不尽な判決であり、本来非難されるべきは大阪市の不作為である。

記者会見で受給者の男性は「判決を聞いて言葉を失った。後で決めた条例で返還を求めるのはおかしい。あまりにも理不尽」、受給者の女性は「当時は返さなくていいと言ったのに今になって何百万円も求められても払えない」などとのべた。

判決後、ただちに府連は市議会各会派への要請行動を展開し、理不尽な大阪市の対応を説明し各議員への理解を求めた。また緊急に抗議ビラを作成し、大阪市役所前で街宣行動を展開した。