25年ぶり 大阪で全国研究集会

部落解放第51回全国研究集会が11月6、7、8日の3日間、大阪市北区の大阪国際会議場を主会場にひらかれた。大阪で「全研」がひらかれるのは25年ぶり。全国から5200人、大阪から1400人が参加し、記念講演や様々なテーマでの分科会で人権の今を学ぶとともに、現地報告、フィールドワークなどで大阪のとりくみを発信した。

主催者を代表して中央本部の組坂繁之委員長があいさつ。部落差別解消推進法をはじめ人権3法が施行されたことをふまえて被差別団体が連携してが救済法をもとめていく必要があること。石川一雄さんの見えない手錠を外す闘いを全力で展開することを指摘し、「各地の実践を出し合いながら、しっかり論議して人権確立に向けた大きな一歩を踏み出そう」などと訴えた。

現地実行委を代表して井上龍生委員長(大阪同和・人権問題企業連絡会理事長)が「25年ぶりに大阪で開催された集会に多くの参加をいただき感謝したい。昨年人権3法が施行され、今年は様々な人権問題にとりくむ立場から意義深い年。差別の実態を明らかにして立法事実を積み重ね、救済法の制定を実現したい」とあいさつした。

府連の赤井隆史委員長は「大阪では『人種差別サポート基金』をつくり推進法の不十分点を自ら克服していくとりくみを進めてきた。実態調査については暮らしのアンケートを運動体自らがおこない、高齢化、孤立化、貧困化などの実態が明らかになった。大阪では多くの隣保館が廃止され、自分たちでつくって運営する隣保館がスタートしている。自分たちの運動を自分たちでやっていこうという試みが始まっている。ぜひ多くを学んでほしい」と呼びかけた。

来賓では大阪府の新井純副知事、大阪市の中尾寛志副市長、堺市の中條良一副市長があいさつ。府内各自治体からの市長・町長、教育長らが紹介された。

特別報告1では済生会理事長で元総務庁地域改善対策室長の炭谷茂さんが「部落差別解消推進法」制定と今後の部落解放行政をテーマに報告。特別報告2では中央本部の西島藤彦書記長が「推進法」制定の意義と今後の課題について話した。

記念講演は府連の幹部・活動者合宿でも講演した慶応大学経済学部教授の井手英策さんが「分断社会を終わらせるために 「自己責任社会」から「頼り合える社会」へをテーマに熱弁。大阪人権博物館の存続に向けた支援を呼びかけ同館の石橋武理事長が特別アピールをおこなった。

2日目は「時事・部落史」「部落解放行政・人権行政」「同和教育・人権教育」「人権啓発」「狭山事件と司法民主化」「部落差別の今日的特徴ととりくみ」「人権の法制度確立」の7つの分科会と「リバティおおさかと浪速地区」「生野コリアタウン」「民設置民営の隣保館」「ふーどばんくOSAKA」「おしゃべりの道具箱」の5つのフィールドワークにわかれて学習した。

3日目の全体会では地元報告として府連の大北規句雄副委員長が「暮らしアンケート調査・地域資源ヒヤリング調査から見えたもの」をテーマに地元報告。立教大学日本学術振興会特別研究員の葛西リサさんが「母子家庭の居住貧困」をテーマに講演をおこなった。