大阪市と政策懇談会

府連と大阪市との政策懇談会が7月20日、大阪市役所でひらかれ、隣保事業と地域福祉計画の改定、部落差別解消推進法の具体化などをテーマに意見を交換した。

政策懇談会には大阪市から中尾寛志副市長、山本晋次教育長、谷川友彦市民局長らが出席。府連からは赤井隆史委員長、村井康利書記長はじめ執行部と大阪市内ブロック各支部の代表が出席した。

冒頭、中尾副市長があいさつし「近年、インターネット上での誹謗中傷や差別的な書き込み、ヘイトスピーチといった新たな人権課題への対応が求められている。人権が尊重される社会の実現に向けてとりくみを推進していかねばならないと考えている」などとのべた。

赤井委員長はあいさつで「大阪北部地震では北摂各地区の隣保館が被災者支援に大いに活躍した。大阪市の各地区に隣保館がないなか、民設置民営で魂がこもった活動がとりくまれており、大阪市のみなさんといままでにない成熟した関係を進めていきたい」とのべた。

村井書記長が懇談会のテーマを提起。▽隣保事業と地域福祉計画の改定▽部落差別解消推進法の具体化▽ヘイトスピーチ条例の改正▽子どもの貧困対策▽地域のまちづくりと住宅セーフティネット法の具体化などについて大阪市の回答を求めた。

主な回答は次のとおり。
隣保事業と地域福祉計画に関わって▽社会福祉法の改正では「我が事・丸ごと」の理念に基づき「地域生活課題」の解決を目指すことが規定され、部落問題も地域生活課題に含まれると考える▽さまざまな活動主体と行政が地域福祉の担い手として協働していくことが重要であり隣保館はその活動主体のなかのひとつ▽人権啓発・相談センターはさまざまな相談機関とのネットワークを構築しており、地域の隣保館等との連携をはかる▽国の設置要項に基づく隣保館は公設公営とするスタンス。現時点で地域の隣保館等への財政的支援は困難だが、事業によっては公的助成制度を活用することは可能。

部落差別解消推進法の具体化については▽「人権問題に関する市民意識調査」に引き続きとりくむ。実態調査については国の調査に協力するとともに、市においては国の調査内容や結果等を踏まえて検討していく▽法施行を踏まえ今後は「同和問題(部落差別)などといった国の表記に準じていく。

ヘイトスピーチ条例の強化については▽地方公共団体のとりくみには限界があり国に対して法的措置を含め実効性のある対策を要望している。

意見交換では、地域での差別の実情や隣保館のとりくみを報告するとともに、地域福祉計画の中に隣保館が含まれるとの回答を踏まえて、生活課題の集中する地域の課題解決に向けたプロジェクトなどを設置し、各地区で隣保事業をできる環境をつくってほしいなどと要請した。