「大阪都構想」を再び否決

大阪市の廃止・分割の賛否を問う住民投票は11月1日投開票の結果、反対が賛成を約1万7000票差で上回り、政令指定都市・大阪市の存続が決まった。2015年の住民投票で一度は決着が付いていたにもかかわらず、大阪市民を再び「対立」と「分断」の構図に引きずり込んだ「大阪都構想」は大阪市民の民意により再度葬り去られた。大阪市の松井一郎市長は市長の任期を持って政界引退を表明した。

府連は市民団体・リアルオーサカに結集するなかで、告示から投票日当日まで総力を挙げて反対運動を展開した。「都構想」がいかに大阪市民にとって「危ない」ものであるのかを、分かりやすく伝えるビラやウェブサイトを展開。大阪市の「お金」が大阪府に吸い上げられ、権限と財源のない「特別区」の住民サービスは必ず低下するとの主張は急激に市民に浸透していった。

終盤には大型のパネル使って大阪市内全域で「サイレント・アピール」行動を展開。絵本作家の長谷川義史さんも「大阪市廃止反対」「都構想にNO」の絵をSNS上などに発信するなど多くの文化人や学者はもとより、賛成一色だった大阪の芸能界からも反対の声が上がっていった。

維新の発信する情報に対する検証も幅広くおこなわれた。ポスターに書かれた「大阪の成長を止めるな」とのコピーについても大阪の成長率が全国平均よりも低いことが明らかになるなど市民の冷静な判断を促す材料が日々積み重ねられ、SNS上のツイッターのハッシュタグ(投稿のキーワード)でも終盤、「大阪市廃止反対」が急増するなど「都構想」反対の声は日に日に大きく広がった。

「都構想」が再び否決されたことで維新は「一丁目一番地」の看板政策を失った。いたずらに対立を煽る政治に終止符を打ち、上からの強引な「改革」ではなく本来の住民自治を実現していく政治への改革が求められている。