部落の高齢化、若い人たちの部落離れは、いまや全国的な共通の問題として挙げ
コラム | 2024年11月16日
ニュース | 2024年5月7日
部落の地名や写真など解説文を添えてネット上に掲載し差別を助長・拡散してきた「部落探訪」に対して富田林支部の男性が削除を求めていた仮処分申請で大阪地裁(井上直哉裁判長)は5月1日、投稿者の鳥取ループ・示現舎に記事の削除を命じた。昨年6月の東京高裁判決に続き「差別されない権利」を事実上認めたもので、「部落探訪」に対する削除命令は全国で初めて。埼玉、新潟で闘われている「部落探訪」訴訟にも大きな影響を与えるものと考えられる。
決定は、「現在もなおその地域の居住者等というだけで否定的な評価をするという誤った認識が根強く残っている」と部落差別の存在を明確に認めたうえで、「部落探訪」の記事が「地域の居住者等に対する差別を助長するもの」であり、「記事が誰でも容易に閲覧することができる状態になることは、差別的な扱いを受けるおそれなく平穏な生活を送ることができる人格的な利益を侵害するものである」と断罪。
鳥取ループ・示現舎が主張していた「公開されている図書や行政文書から知ることができる事実」や「公共の場所から見える風景写真を掲載しているものにすぎない」などの主張については「記事は写真と解説文を組み合わせて地域が被差別部落である旨を示すことによって人格的な利益を侵害するもの」と一蹴し、記事全体の削除を命じた。また掲載されている記事・写真の全てについて、「ウェブサイトへの掲載、書籍としての出版、出版物への掲載等一切の方法による公表をしてはならない」とし、将来的な掲載行為についても禁じた。
5月7日、大阪地裁でひらかれた記者会見で原告の男性は「普遍的な判断をいただいた。信頼できる決定だ」と評価し「手を変え品を変え差別する人に屈することはできない」とのべた。府連の赤井隆史委員長は「地域を出て生活している人も日々差別される不安のなかにある。そうした不安に答える有意義な判決だ」と強調。今後は大阪全体、全国に波及するとりくみにつなげて、政府から独立した人権委員会の設置などにつなげていきたいとのべた。