ネット上の差別問題で国へ要望 府などでつくる対策会議

インターネット上で同和地区の地名や所在地情報が流布され続けている問題で大阪府、市町村等でつくる「インターネット差別事象対策推進会議」(以下、対策会議)がこのほど国への要望事項をとりまとめた。

昨年6月にひらかれた松井一郎知事との政策懇談会で府連が対応を求めていた

土地差別事件をふまえて大阪府は2011年、部落差別調査等規制等条例を土地差別調査行為も対象とするよう改正した。一方でインターネット上では依然として同和地区の地名や住所の一覧が自由に閲覧できる状況が放置され続けている。

インターネット上の違法・有害情報への対応については、電気通信事業4団体で構成する連絡会が「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」と「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」をまとめている。この契約約款モデル条項では差別的な表現や差別を助長する表現を「禁止事項」としているが、ユーザーの書き込みが禁止事項に該当するのかどうかの判断はそれぞれのプロバイダに委ねられており、基準が明確でないため削除等の措置を講じられていないのが現状。

対策会議では、モデル条項に判断基準となる具体的な事例を盛り込むとともに、すべてのプロバイダがこの禁止事項を契約約款に取り入れるよう国が業界の自主規制に方向性を与えるようなサポートを実施するよう要望していくべきだとまとめた。

今後、この要望をふまえ、大阪府、市長会、町村長会の三者要望を通じて国への要望を実施することになる。

あわせて、①インターネット上の行為が差別や人権侵害を引き起こしている事例を集めること②電気通信事業4団体で構成する違法情報等対応連絡会に、契約約款禁止事項への具体事例を盛り込むよう働きかけを行うこと③各プロバイダに対して契約約款の改正を行うよう働きかけを行うこと④プロバイダと一緒になって政府に対してプロバイダ責任制限法の改正を働きかけること⑤こうした取り組みを被差別マイノリティーやインターネット上の差別書き込みの被害者と一緒になって取り組むこと⑥大阪の行政や企業、宗教団体などが参加する「人権政策確立要求実行委員会」の取り組みとして実施すること⑦大阪だけの動きとせず「登録型本人通知制度」の運動のように全国化していくことが重要。

ネット選挙解禁の動きもありプロバイダ責任制限法のあり方も注目される。インターネット上の差別行為や差別助長行為が社会的に許されないことだという規範をつくりあげるためにこの要望をぜひとも実現したいとしている。