無実を叫び50年 狭山再審求め市民集会

不当逮捕から50年目の5月23日、「無実を叫ぶ50年!いまこそ証拠開示と事実調べ・再審開始を」をスローガンに掲げ、狭山事件の再審を求める市民集会が東京・日比谷野外音楽堂でひらかれた。石川一雄さんの「みなさんの支えによって50年間闘ってこられた。今年こそ決着をつけるためにさらなるご支援を」との訴えを受け、全国からかけつけた3000人の支援者らは50年目の今年を再審開始、勝利の年とする決意を新たにした。

あいさつに立った石川さんは「みなさんの支えによって50年間も元気で闘ってこられた。弁護団も一生懸命に節目の今年で決着をつけるために取り組んでいる。楽観は許されない。寺尾判決のようなこともある。今年こそ第3次で決着をつかるためにさらなるみなさんのご支援をお願いしたい」と訴え、早智子さんも「これ以上待てない。どうか希望を与えてください」と詰めかけた支援者らに支援を呼びかけた。

市民集会は、フォークシンガーの小室等さんと娘のこむろゆいさんのユニット「Lagniappe(ラニヤップ)」によるミニコンサートで開会。講談師の神田香織さんによる「えん罪50年 石川一雄の闘い」と題した講談が披露されるなど多彩な内容の集会となった。

ルポライターの鎌田慧さんとの対談で石川さんは「50年間、司法の冷酷さを知った。大地にしっかりと根を張った運動を続けて無罪を勝ち取り、第2の人生を送りたい」とのべた。鎌田さんが「私と石川さんとは同じ年齢。これから75歳になるが、あとそんなに長くないわけですから早く決着つけたいですね」と問いかけると、石川さんは「勝手にそんなことを思ってもらっちゃ困ります。私は無罪を勝ち取ってからが第2の人生。これからが長いんです」と応え、会場は笑いに包まれた。

集会は中央本部の組坂繁之委員長が開会あいさつ。基調提案を松岡徹書記長が行った。足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さん、氷見事件の柳原浩さんら他のえん罪事件の被害者も駆けつけて、政党からは民主党の福山哲郎参議院議員、社民党の福島瑞穂党首も連帯のアピールを行った。

中山武敏主任弁護人はこれまでに13回の三者協議が行われ、計129点の証拠が開示されたこと。「秘密の暴露」であるとして有罪の根拠とされた被害者の腕時計のバンド穴が、被害者が使っていないところに使用痕があったことなど鑑定書を提出すること。交代した河合健司裁判長が三者協議についてこれまでの方針を踏襲することを明らかにしたことも報告した。

集会後は日比谷公園から東京駅をこえ、常盤橋までをデモ行進。それぞれに工夫を凝らしたプラカードなどで道行く人に50年無実を訴え続けてきた狭山事件の真相を訴えた。

●石川一雄さん、早智子さんの訴え

●神田香織さんの講談「えん罪50年 石川一雄の闘い」

●石川一雄さんと鎌田慧さんの対談